佐野ゼミ 2013年度2年次ゼミ 1月8日および1月15日

ゼミ生への連絡1:2014年1月の2年次ゼミは、1月8日および1月15日の2回のみです。そのゼミ授業に対応する400字レポートの2本に関しては、できるだけ2013年12月26日(木)までに、自分のskydriveの共有フォルダにアップロードして下さい。少なくとも2本の内、1本は絶対に2013年12月26日(木)までに提出して下さい!それが守れない場合は何らかのペナルティを科すことにします。
 そのための課題は現在のところ、本WEBページ中の課題および予告課題とします。どれか二つを適当に選んで回答して下さい。(なお、本webページは追加をおこなう予定です。)
1) 正当な公的理由による欠席の場合は、400字以上ではなく、欠席1回につき1,500字以上のレポートを提出してください。
2) 私的理由であるが事前に連絡・相談して欠席した場合は、欠席1回につき2,000字以上のレポートを提出してください。
3) 私的理由でなおかつ事前の連絡・相談なしに欠席した場合は、欠席1回につき5,000字以上のレポートを提出してください。

[1月8日および15日のゼミ授業のために提出すべき400字レポートの課題]
下記の問題の内のどれか一つを取り上げ、ゼミに出席される方は、400字以上のレポートを提出してください。

問1 先週および先々週の授業中に教員から指摘された事項について調べなさい。

問2 自分が先週または先々週に提出したレポートに関して、どこに問題点があるのかを自分で見つけるとともに、「文章をどのように訂正した方がよいのか?」、「どのような補足をすべきなのか?」、「どのようなデータを付け加えた方がより説得力を増すのか?」という視点から、400字以上の追加訂正をしなさい。

問3 「コストリーダーシップ戦略」、「差異化戦略」、「コスト集中戦略」、「差異化集中戦略」に関する下記問題について調べなさい。

コストリーダーシップ戦略 「低コスト」化(lower cost)によって競争優位性を獲得しようとする戦略
差異化戦略 「差異」化(differentiation)によって競争優位性を獲得しようとする戦略
コスト集中戦略 「低コスト」化(lower cost)と特定セグメントへの「集中」化(focus)によって競争優位性を獲得しようとする戦略
差異化集中戦略 「差異」化と特定セグメントへの「集中」化(focus)によって競争優位性を獲得しようとする
問3-1 家庭用据置型テレビゲーム専用機事業における製品開発・技術開発に関して最近の任天堂が取っているさまざまな行動や決定を、「低コスト」化と「差異」化という視点から分析しなさい。そしてその分析結果に基づいて、任天堂の家庭用据置型テレビゲーム専用機事業が「コストリーダーシップ戦略」、「差異化戦略」、「コスト集中戦略」、「差異化集中戦略」のどれを相対的に採用していると言えるのかを論じなさい。

問3-2 家庭用据置型テレビゲーム専用機事業における製品開発・技術開発に関して最近のソニーが取っているさまざまな行動や決定を、「低コスト」化と「差異」化という視点から分析しなさい。そしてその分析結果に基づいて、ソニーの家庭用据置型テレビゲーム専用機事業が「コストリーダーシップ戦略」、「差異化戦略」、「コスト集中戦略」、「差異化集中戦略」のどれを相対的に採用していると言えるのかを論じなさい。

問3-3 家庭用据置型テレビゲーム専用機事業における製品開発・技術開発に関して最近のマイクロソフトが取っているさまざまな行動や決定を、「低コスト」化と「差異」化という視点から分析しなさい。そしてその分析結果に基づいて、マイクロソフトの家庭用据置型テレビゲーム専用機事業が「コストリーダーシップ戦略」、「差異化戦略」、「コスト集中戦略」、「差異化集中戦略」のどれを相対的に採用していると言えるのかを論じなさい。

問3-4 スマートフォン事業における製品開発・技術開発に関して最近のアップルが取っているさまざまな行動や決定を、「低コスト」化と「差異」化という視点から分析しなさい。そしてその分析結果に基づいて、アップルのスマートフォン事業が「コストリーダーシップ戦略」、「差異化戦略」、「コスト集中戦略」、「差異化集中戦略」のどれを相対的に採用していると言えるのかを論じなさい。

問3-5 スマートフォン事業における製品開発・技術開発に関して最近のサムスンが取っているさまざまな行動や決定を、「低コスト」化と「差異」化という視点から分析しなさい。そしてその分析結果に基づいて、サムスンのスマートフォン事業が「コストリーダーシップ戦略」、「差異化戦略」、「コスト集中戦略」、「差異化集中戦略」のどれを相対的に採用していると言えるのかを論じなさい。

問3-6 スマートフォン事業における製品開発・技術開発に関して最近のソニーが取っているさまざまな行動や決定を、「低コスト」化と「差異」化という視点から分析しなさい。そしてその分析結果に基づいて、ソニーのスマートフォン事業が「コストリーダーシップ戦略」、「差異化戦略」、「コスト集中戦略」、「差異化集中戦略」のどれを相対的に採用していると言えるのかを論じなさい。

問4 「コストリーダーシップ戦略」、「差異化戦略」、「コスト集中戦略」、「差異化集中戦略」といった戦略を選択して獲得した競争優位性に関して、「優位性がどの程度の期間にわたって持続したのか?」「一定期間にわたって優位性を持続できた理由は何か?」「一定期間にわたって持続した優位性はどのような理由・メカニズムで消失したのか?」「優位性の長期的持続のためにはどのようにすべきなのか?(どのようにすれば長期的に持続する優位性を獲得できるのか?)」といった視点から、下記のような具体的事例を一つ取り上げて考察しなさい。
取り上げる事例は、下記以外でも構わない。(例えば、「スポーツ業界におけるサッカーのJリーグが、プロ野球のセ・リーグ,パ・リーグ、バレーボールのVリーグ、バスケットボールのbjリーグに対して、どのような戦略に基づいてどのように持続的競争優位を獲得しようとしているのか?」といったような問いを自ら作って回答しても構わない。)

問4-1 アップルが、知的財産権によって競合企業に対する模倣困難性を高めることで競争優位を持続してきた具体的事例をわかりやすく説明しなさい。なおその際には、5W1Hに留意するとともに、どのような内容の知的財産権によって、どのような形で競争優位を持続させてきたのかを説明しなさい。(例えば、サムスンに対する知的財産権侵害訴訟などを取り上げてわかりやすく説明しなさい。)

問4-2 マイクロソフトが、知的財産権によって競合企業に対する模倣困難性を高めることで競争優位を持続してきた具体的事例をわかりやすく説明しなさい。なおその際には、5W1Hに留意するとともに、どのような内容の知的財産権によって、どのような形で競争優位を持続させてきたのかを説明しなさい。

問4-3 インテルが、知的財産権によって競合企業に対する模倣困難性を高めることで競争優位を持続してきた具体的事例をわかりやすく説明しなさい。なおその際には、5W1Hに留意するとともに、どのような内容の知的財産権によって、どのような形で競争優位を持続させてきたのかを説明しなさい。(例えば、NECに対する知的財産権侵害訴訟などを取り上げてわかりやすく説明しなさい。)

問5 「競争優位の源泉が何であるのか?」という問題に関して、「企業が利用可能な経営資源」(resource)が源泉であるとするRBV(Resource Based View)アプローチと、企業の事業セグメント選択や戦略選択といったポジション選択に源泉を求めるポジショニング(Positioning)アプローチがある。
 こうした二つのアプローチに関して、下記の問いに答えなさい。

問5-1 「企業が利用可能な経営資源」(resource)に競争優位の源泉を求めるRBV(Resource Based View)アプローチとはどのような考え方であるのかを、わかりやすく説明しなさい。
問5-2 企業の事業セグメント選択や戦略選択といったポジション選択に競争優位の源泉を求めるポジショニング(Positioning)アプローチとはどのような考え方であるのかを、わかりやすく説明しなさい。
問6 ソフトウェア1本あたりの開発費が高騰することで起きると予想される現象としては、「新規開発ソフトの数を絞る」ことや、「ソフトウェアの失敗確率を低めるために続編もののソフト開発を重視する」ことが起きると予測される。
ソフトウェア1本あたりの開発費が歴史的にどのように推移してきたのかを調べるとともに、実際にそのような現象が起きているのかどうかを具体的に調べてみよう。

問7 ゲーム専用機はパソコンなどと比べて本体価格の割に「浮動小数点演算」能力がかなり高い。「浮動小数点演算」能力で性能評価がされることが多いスパコンとの比較でゲーム専用機の性能の「高さ」が比較される下記のような記事が書かれるのはそのためである。
 しかしそれにも関わらず、ゲーム専用機をパソコンとして使用することにはいくつかの問題点がある。そのことに関して、演算処理に関する技術的性能の問題や補完財としてのソフトウェアの問題などとの関連でわかりやすく説明しなさい。

問8(ゼミ合宿用テーマ候補) 産業構造に関する「垂直統合」(vertical integration)および「水平分業」(horizontal division of labor)に関する下記のような一般的説明について、具体的事例を用いて解りやすく説明しなさい。

問9(ゼミ合宿用テーマ候補) 製品コンセプト(product concept)の決定以後に必要となる、製品の設計(design)、開発(development)、製造(manufacturing)に関する下記の問いに答えなさい。

問9-1 「設計・開発・製造を一社でやるアプローチ」と「設計・開発・製造を分業体制でやるアプローチ」それぞれにメリット・デメリットがあるが、そのことについて調べてみよう。例えば代表的なスマホに関して、CPU、GPUの設計メーカーと製造メーカー、および、技術的性能を調べて一覧表を作成しなさい。そしてそのことから、どのようなことが言えるのかを考えてみなさい。

問9-2 製品の設計、開発、製造をすべて1社で行うやり方と、製品の設計、開発、製造をさまざまな会社と分業しておこなうやり方がある。このことに関して、Appleのスマートフォン事業を分析しなさい。そしてAppleのスマートフォン事業は、「垂直統合」「水平分業」という理論的規定のどちらかと一致するかどうかを考察し、一致していると考えられる場合にはどちらの理論的規定により近いのかを、一致していないと考えられる場合にはどのような理論的用語が用いられているのかを、説明しなさい。

問9-3 製品の設計作業と開発作業の相対的差異に関して、下記WEBサイトの事例などを例として調べてみよう。例えば、「Wii U GamePadの基本的なシステム設計作業とは何か?」「Wii U GamePadの開発作業とは何か?」ということを調べてみよう。

任天堂(2012)「社長が訊く WiiU GamePad編」
http://www.nintendo.co.jp/wiiu/interview/hardware/vol2/index.html

問10(ゼミ合宿用テーマ候補) TV放送に関わるイノベーションに関して、「TVの高解像度化という方向でのイノベーションの将来性はどうか?」「インターネットの発展にともなう放送と通信の融合の将来性はどうか?」「TV放送局の将来的発展の方向性はどうであるべきか?」「TV受信機やディスプレイの将来的発展の方向性はどうであるべきか?」などといった問題を具体的にわかりやすく説明しなさい。

関連参考文献

「特集 膨張する放送-テレビを再び主役に」『日経エレクトロニクス』2013年10月28日号
日経エレクトロニクス編集部「高精細化と個人化、そしてIP統合を推進」pp.24-31
夏野剛「重要なのは実質視聴率、伝送路は多様な方がよい」pp.32 -33
野澤哲生「第2部:4K/8Kへの道-綱渡りの技術開発、映像が伝送路に収まるか」pp.34-39
日経エレクトロニクス編集部「第3部:個人化の進展-放送と通信の壁が消滅へ、実現方式は群雄割拠」p.40

松浦晋也(2013)「2011年 地デジ放送へ全面切り替え、映像サービスが多様化」『日経パソコン』2013年9月9日号, pp.74-75
「激変!テレビ視聴-高精細画像、モバイル、動画配信が当たり前に」『日経TRENDY』 2013年9月号, pp.64-69
須藤修(2013)「インタビュー記事:既存のテレビに未来はない、挑戦のための基盤を構築」『日経エレクトロニクス』 2013年8月5日号, pp.67-70

問11(ゼミ合宿用テーマ候補) 藤本隆宏氏が提唱している製品アーキテクチャ論における中心的概念である、「モジュラー型」「インテグラル型」という理論的用語について、具体的事例を用いてわかりやすく説明しなさい。

製品の技術的構成

material(素材、原材料)
parts(部品)
module(モジュール)
product(製品)

製品競争力の技術的規定要因としての、「製品設計」と「製品生産」

「製品設計」(product design)— 製品の機能や性能にかかわる技術的決定に起因する競争力の差異
vs
「製品生産」(production)— 製品の生産の在り方にかかわる技術的決定に起因する競争力の差異

「製品設計」に関する規定要因 —- 市場的要因、技術的要因
市場的要因(市場需要の現在と将来、競合企業の現在と将来)
vs
技術的要因(自社技術などの利用可能な技術的資源の現在と未来、競合企業の技術の現在と未来)

関連参考記事

問12(ゼミ合宿用テーマ候補) イノベーションに関する先発者の優位性に関して、ポーターがポーター, M.E. (土岐坤訳,1985)『競争優位の戦略』ダイヤモンド社,pp.232-234において挙げている「独占的な習熟曲線」という優位性の根拠となる経験曲線効果について、具体的な事例をもとにわかりやすく説明しなさい。

問13(ゼミ合宿用テーマ候補) 算術演算(四則演算)の実際の実行処理のさせ方には、「整数演算」方式と「浮動小数点演算」方式がある。
 ゲーム専用機はパソコンなどと比べて本体価格の割に「浮動小数点演算」能力がかなり高い。「浮動小数点演算」能力で性能評価がされることが多いスパコンとの比較でゲーム専用機の性能の「高さ」が比較される下記のような記事が書かれるのはそのためである。
 しかしそれにも関わらず、ゲーム専用機をパソコンとして使用することにはいくつかの問題点がある。
 ソニーは、PS2やPS3の製品イノベーションに際して、ゲーム専用機という狭い製品セグメントを超えた製品としてPS2やPS3を位置づけようと部分的には志向してはいたが、現実的にはうまくいかなった。
 そのことについて、わかりやすく説明しなさい。

なお「整数演算」方式の処理性能が高いCPUは、「論理演算」の処理性能も高いと考えられる。それは、現代コンピュータが0と1という2つの数字だけを扱うことで、整数演算方式の算術演算用回路と、論理演算用回路を共通化することで、コンピュータのCPU回路に関する低コスト化を図っているためと考えることができる。
そのことに関して、演算処理に関する技術的性能の問題や補完財としてのソフトウェアの問題などとの関連でわかりやすく説明しなさい。

なお「浮動小数点演算」の性能は、FLOPS(Floating point number Operations Per Second)を単位として表されることが多い。

久夛良木健(2006)「「プレイステーション」市場の創出と次世代エンタテインメント機器開発への挑戦」武田計測先端知財団, 2006.12.26
http://www.takeda-foundation.jp/reports/pdf/ant0303.pdf

久夛良木健氏の当時の肩書きは、株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント会長兼グループCEOである。
p.9ではPS2に関して、「当時の最先端のワークステーションの演算能力をはるかに超え、科学技術シミュレーション用の大型スーパーコンピュータ並の演算能力に匹敵する性能を有するものとなった。」と書かれている。
またpp.14-15では「PS3に搭載されている、セルプロセッサはOSなどを実行する汎用CPUコアと、シナージティックプロセスエレメント(PSE)と呼ばれる8個のコアがワンチップに収められたもので、・・・256GFLOPS(ギガフロップス、2560 億/秒)の高性能を有しており、PS3 では、極めてリアルな動作の動画の表出が可能で、さらにそれ以上の処理能力をセルプロセッサは有している。このことから PS3 というハードは単なるゲーム機としての画像処理能力をはるかに超えており、今後ソフトクリエータやユーザからの新しい要望を受けて、これまで予想されていないような、新しいソフトが開発されてくる可能性があり、このことはこれまでの商品開発の方向とは異なり、技術性能の極限をユーザに示すことで、新しい製品が創出されるという新しいビジネスモデルの提案がなされているといえよう。/さらに、このような PS3の超高速の処理能力を生かして、エンタテインメント以外での利用の可能性が提案されている。米国スタンフォード大学では「キュアー・プレイステーション 3」と名づけられた計画で、PS3のユーザの協力を得て、インターネット接続したPS3を世界中でつなぐことにより、一つのスーパーコンピュータとして利用する計画で、がんやアルツハイマー病といった難病の治療薬の開発のため、PS3を活用しようと計画されているものである。PS3のユーザはゲームなどのエンタテインメントで楽しんだ以外の時間を、この開発に活用するというものであり、これが実現すると PS3は単なるゲーム機ではなく、全く新しい寄与を行うこととなり、この進展が期待される。」
「セルプロセッサによる世界最速スーパーコンピュータ」pp.15-16など

livedoorコンピューター(2008)「一家に1台のスパコンを実現した PS3の CPU パワーの秘密」2008年4月18日 / 10:00
http://japan.internet.com/webtech/20080418/6.html
Gigazine(2009)「アメリカ空軍、軍用のスーパーコンピューターを作るためにPS3を2200台発注へ」2009年11月24日 18時34分00秒
http://gigazine.net/news/20091124_ps3_2200/

「浮動小数点数」日本語版ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/浮動小数点数
「論理演算」日本語版ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AB%96%E7%90%86%E6%BC%94%E7%AE%97

■ 発表順は、提出が最も遅かった人からにします。
■ レポート作成に際しては下記の注意事項を厳守して下さい。
[前回の授業内容]
2013.12.18 佐野ゼミ2年次授業

発表者
1 戸部泰大
2 伊藤飛光
3 井出明輝
4 岩崎夏美

カテゴリー: 2013-2015-2年次後期, 佐野ゼミ生用 パーマリンク