具体的事例としての自動車
自動車におけるproduct designの階層性 — 「自動車をどのように区分するのか?」という視点から見た製品区分の階層性
A.自動車の走行システムの基本的designに関するイノベーション
タイプ1.「レシプロ型内燃機関」利用の自動車
ガソリン自動車(ガソリン・エンジン+ガソリン)
ディーゼル自動車(ディーゼル・エンジン+軽油)
ディーゼル自動車(ディーゼル・エンジン+軽油)
タイプ2.「電池」+「電動モーター」利用の自動車
電気自動車(充電池+電動モーター+電気)
燃料電池自動車(燃料電池+電動モーター+電気)
燃料電池自動車(燃料電池+電動モーター+電気)
電気自動車と燃料電池自動車のproduct designの差異性は、上記のように構成モジュールを抽象的に捉えた場合には、電池が「充電池」=「2次電池」であるのか、「燃料電池」などの「1次電池」であるのかという電池の差異性に還元されてしまう。
そのように見た場合には、トヨタの燃料電池自動車Miraiの技術的革新度はさほど高くはないことになってしまう。
自動車の機械学的視点から構造を見た場合には、車輪部に電動モーターを収納するインホイール型電気自動車の方がよりradicalな技術革新となる。すなわち、車輪と電動モーターを一体化し、各車輪の中に電動モーターを配置したインホイール型電気自動車では、個々の車輪を独立に制御可能であるため、差動歯車装置(デファレンシャルギア、differential gear)を不要となるからである。
伝統的自動車の機械的構造> エンジン+差動歯車装置・変速装置+車輪
(ガソリン自動車、ディーゼル自動車、従来型電気自動車、燃料電池自動車)
↓
インホイール型電気自動車の機械的構造>エンジン+車輪
B.自動車の走行安全性システムの基本的designに関するイノベーション
走行安全性を担保するモジュールとしては、ブレーキ・システム(ディスク・ブレーキ vs ドラム・ブレーキ)やミラー(バックミラー、サイドミラー)がある。
2016年6月より、バックミラーやサイドミラーに代わって、カメラとモニターによって安全確認をおこなうミラーレス車が法的に可能となる。
「ミラーレス車 公道へ 「カメラで代用」国交省解禁 来年6月にも新基準 死角減少に期待」『毎日新聞』2015年11月30日朝刊
「ミラーない車、実用化 — IT時代、変わる部品勢力図、パナソニックなど攻勢」『日本経済新聞』2016年1月19日朝刊
「ミラーない車、実用化 — IT時代、変わる部品勢力図、パナソニックなど攻勢」『日本経済新聞』2016年1月19日朝刊