クリステンセンのイノベーション論 — 製品セグメントに関する性能下限と性能上限という規定要因

各製品セグメントごとに、製品がそれ以下の性能であれば顧客のwantsの対象とならなくなる(あるいは顧客のdemandがゼロになる)「性能下限」、および、製品がそれ以上の性能を持っていても顧客のwantsを増大させない(あるいは顧客のdemandを増大させない)「性能上限」がそれぞれ存在する。
各競合企業の新技術開発により「性能下限」および「性能上限」が時間とともに上がるが、技術革新による製品の性能向上のスピードは「性能下限」および「性能上限」の上昇のスピードを一般的には上回っている。

[考察してみよう]
課題1. 上記の結果として、上位市場に属する製品セグメントにおける先行有力企業が、下位市場に属する製品セグメントにおける新規企業との、当該上位製品セグメント市場における競争において敗北することがよくある。それはどういうことなのかを具体例を挙げて説明しなさい。

課題2. 技術革新による製品の性能向上のスピードは、各製品セグメントに特有の「性能下限」の上昇スピードよりも大きい。そのことを積極的に利用して下位製品セグメント市場への参入から初めて、時間的進展とともに上位製品セグメント市場へと製品展開を積極的に図った企業の事例を一つ挙げてわかりやすく説明してみよう。

課題3. 技術革新による製品の性能向上のスピードは、各製品セグメントに特有の「性能上限」の上昇スピードよりも大きい。そのことは企業においては技術開発と製品開発の差異という形式で問題になる。また旧世代機よりも高性能な新世代機が市場において競争力を持たないという現象としても問題になる。このことに関して事例を挙げてわかりやすく説明してみよう。

[参考WEB]
佐野正博(2004,2011)「イノベーションに関するクリステンセンの見解」
http://www.sanosemi.com/biztech/document/Christensen-theory-of-Innovation.pdf
佐野正博「製品イノベーションにおけるドミナント・デザインの存続要因としての、市場が求める製品性能の上限と下限」
http://www.sanosemi.com/biztech/document/dominant-design-ref01.pdf

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