製品市場における世代交代の実現を目指した製品イノベーションに際して、互換性確保と性能向上という二つの技術的目標はトレードオフ関係にあり、「旧世代機との互換性を新世代機において確保すること」(「互換性重視」的技術戦略)と「旧世代機からの大幅な性能向上を新世代機において実現すること」(「性能向上重視」的技術戦略)の両立は一般的には困難であるが、技術的にまったく不可能というわけではない。
なおゲーム機において互換性確保と性能向上を同時に実現するやり方には互換性確保のやり方との関係で三種類あるが、互換性確保あるいは性能向上のそれぞれどちらか片方の目標だけを単独に追求する戦略よりも、コスト増になる。
課題1、 ゲーム機に関して互換性確保と性能向上の両立を図る三つの技術戦略の内で製品の限界費用を低く抑えることが最も実行しやすいと思われる戦略を取り上げて説明しなさい。なおその際に、他の二つのやり方に比べてそのやり方の方が限界費用を低く抑えることができると推定される理由を、事例を挙げながらわかりやすく説明しなさい。
[三種類の対応に関するヒント]新世代機において旧世代機との互換性を確保するには、「ハードウェア」的対応と「ソフトウェア」的対応がある。また新世代機において旧世代機に対する性能向上の実現には、「新規研究開発による新規モジュール」による対応と、「研究開発が既になされている既存モジュール」による対応がある。
性能向上の 実現方法 |
新規開発モジュール による対応 |
vs | 既存開発モジュール による対応 |
互換性の 実現方法 |
新規開発ソフト による対応 |
vs | 旧世代機モジュール 搭載による対応 |
課題2、 他の二つの技術戦略とはどのようなものなのかを事例を挙げて説明してみよう。
課題3、 21世紀の自動車に関して、「走行時における二酸化炭素排出量をなるべく低くする」という性能向上を追求する方向での製品イノベーションが進行中である。こうした21世紀における自動車のproduct innovationに関しても、「互換性維持重視」的技術戦略 vs 「性能向上重視」的技術戦略という視点からイノベーション戦略を分析することができる。
ブルーテク技術採用ディーゼル自動車、非プラグイン型ハイブリッド自動車、プラグイン型ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池車など、自動車に関するproduct innovationに関して、「互換性維持重視」的技術戦略 vs 「性能向上重視」的技術戦略という視点から考察を加えてみよう。
[参考WEB]
佐野正博(2008,2010)「ゲーム機の製品イノベーションにおける技術戦略論的視点から見た「位置取り」問題」Ver4.4
http://www.sanosemi.com/biztech/document/Game-Positioning-Ver4-4.pdf