NHKは下記WEBページでは「電波は国民の共有財産であるということからすると、広い意味では民放も公共性があるということになります」というように民放にも公共性があるとしながらも、「公共放送とは営利を目的とせず、国家の統制からも自立して、公共の福祉のために行う放送」であるというように規定している。
NHKによるこうした規定に基づけば、公共放送であるための要素は下記の3つということになる。
1) 非営利性
2) 国家の統制からの自立
3) 公共の福祉への寄与
2) 国家の統制からの自立
3) 公共の福祉への寄与
上記の3つの要素それぞれに関して、「NHKが本当にそうした要素規定をきちんと満たしているのか?」が下記のように問題となる。
- NHKは非営利性を強調しているが、NHKが受信者から強制的に徴収している受信料収入は、民放の上位3社のCM放送収入の合計を上回る巨額な金額である。そうした巨大な収入を持つにも関わらず、非営利性を強調することは不適切ではないのか?あるいは、非営利であることにどのような意味があるのか?
- 放送業務をおこなっている非営利の組織はNHKだけなのか?
- 公共の福祉への寄与は、NHK独自のことではなく、民放各局も同じではないのか?また民放は公共の福祉に寄与していないのか?
- 公共放送を支える資金源である受信料をNHKが独占しているのは適切なのか?NHK以外の放送業務をおこなっている非営利の組織(あるいは、放送業務を新規に開始したいと考えている非営利の組織)に対して、受信料を配分することがなされていないのは適切なのか?
- 国家の統制からの自立(の必要性)は、NHK独自のことではなく、民放各局も同じではないのか?また下記の問題にあるように、民放と比べてNHkが特に国家の統制からの自立をしているとは言えないのではないか?
- 国家の統制からの自立を強調しているが、NHKの報道は政府・与党からの干渉を受けていると批判されることも多いのではないか?例えば「2017年3月に森友学園問題を取り上げた際には、自殺した近畿財務局の職員にフレームアップしないよう、報道局長が強く求めた」(竹中明洋(2019))とされるし、最近では下記WEB記事のように、NHKの所管官庁である総務省の事務方トップ(「総務次官」)であった鈴木康雄・日本郵政上級副社長によるNHKへの「圧力」が問題になった。(日本郵政には、鈴木氏以外にも、総務省の元幹部が多数在籍している)
「国家の統制」・「政府・与党からの干渉」・「圧力団体」からのNHKの独立に関わる問題
- 竹中明洋(2019)「NHKは日本郵政の「圧力」になぜ屈したか、ウラに隠された事情:「放送法改正」という「人質」があった」現代ビジネス(講談社)、2019.9.29
- 「NHK、問われる放送の独立性 かんぽ不正巡る報道」日本経済新聞、2019/10/3
- 藤田知也(2019)「NHK「クロ現」に一体何が? かんぽ不正で消えた続報」朝日新聞2019年12月9日
- 「トップが番組批判を主導 かんぽ報道議論のNHK経営委」朝日新聞、2020年3月23日
- 吉野嘉高(2020)「テレビが「放送法4条撤廃」のニュースを報道したくない裏事情」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67506
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50572580T01C19A0TJ2000/
https://www.asahi.com/articles/ASN3R5WC6N3LUCVL001.html
https://digital.asahi.com/articles/ASN3R5WC6N3LUCVL001.html
https://ironna.jp/article/9645?p=1