元となる素材もアイデアも何もない中から、レポートや論文を作成することは困難ですし、効率的でもありません。レポートや論文のもととなる素材やアイデアのすべてを自分で作成・用意することも現実的には不可能なことです。他の人や企業がすでにおこなった調査や研究のデータやレポートを、自分のレポートや論文のためのネタ元(素材)として積極的に使うことは良いレポートを作成するのに有用ですし、必要不可欠なことです。
逆に、他の人や企業が既におこなっていることをきちんと調べて置かないと、既存のものよりもより良いレポートを作成することはできません。既存資料をきちんと検索し、重要な箇所をコピペしたメモ文書を作成していくことが、より良いレポートを作成するための第一歩です。
企業経営の分析においてポジショニング・アプローチ的視点とResource-Based View的視点の両方が必要なように、レポートや論文の作成においても、「どのような問題意識のもとに分析するのか?」ということとともに、「どのようなresourceが利用可能なのか?」ということが重要です。
「きちんとした問題意識を持つ」こととともに、「数多くの良質なresourceを利用する」ことが重要です。問題意識のないレポートは無意味ですし、良質なresourceを利用していないレポートは無内容です。
また良質なreourceを利用したとしても、それらのresource、すなわち、他者の文章をそのままコピペしてつなぎ合わせて「自分のレポート」として提出することは、他者のものを勝手に利用した「知的窃盗行為」であるだけでなく、他者のものを自分のものと偽る一種の「詐欺」行為です。
現代社会、および、企業間競争・製品間競争においては、他のモノマネではないこと、originalityによるdifferentiationが重要です。レポートのoriginalityとは、文章表現のoriginality、すなわち、「レポートの文章の起源(origin)が自分である」ということです。
自分の知的能力を高めるためには、適切なresourceを素材として「自分の頭できちんと考える」、「適切で分かりやすいoriginalな文章を自分で創り出す」ということが重要です。他人の文章をそのままコピペするという怠慢な行為をするべきではありません。単なるコピペだけのレポートは、「社会的不正行為」であるだけでなく、「知的自殺行為」です。
- 出典が明示されていない解説WEBページや解説サイトは、そのWEBページやサイト自体が大きな問題です。適切な引用や参考資料の明示がなされていないとすれば、「著作権法違反の疑いが強い」という意味で法的に大きな問題であるだけでなく、「コンプライアンス違反を平気で行っている」という意味でビジネス倫理的にも大きな問題です。そうしたWEBページや解説サイトを参考資料として挙げることや利用することそれ自体が適切ではありません。
- 解説WEBページ等の記述だけを見てレポートを作成するような手抜きは絶対にしないでください。既存のものとして何があるのかを調べるための時間短縮に使うのは適切ですが、その段階で止まっては、自分の頭で考えていないことになりますし、努力せずサボっていることにもなります。
そうした行為は、レポート作成を課題としてこなすことの教育的意味を損なうものとして教員の教育的意図に反する知的自殺行為です。そうしたことは社会のAI化イノベーションの中でたくましく生き抜くために必要な自分の能力(検索力・表現力・解説力などの情報力)を伸ばすことにつながらず、単なる時間の無駄です。
課題レポートの作成に際して、解説WEBページ等の記述を参照すること自体はレポート作成時間の短縮のためにも有用ですので構いませんが、そうした場合には、そうした解説WEBページ等が参照している元のWEBページや資料・データも必ず参照しきちんと読んでから課題レポートを作成して下さい。 - 特に断り書きがない限り、課題レポートの作成に際しては、重要な論点に関しては、解説WEBページ等以外に、5つ以上のWEBページまたは資料・データを必ず参照してください。また自分が参照・利用したWEBページまたは資料・データをすべて明示して下さい。
- 下記WEBページに示されている「レポート・論文の盗用等不正行為への注意」をよく読むとともに、それらに書かれている指示を遵守すること。盗用等不正行為に対しては、「定期試験での不正行為(カンニング)と同様の処分(その科目のみならず当該期の全登録科目の不合格や停学処分等)の対象となることがあります」ので注意してください。
- 引用表記および図表の付け方に関しては、教員の別途指示に原則としてしたがって下さい。すなわち、図・グラフや表のすぐ下に出典を明記することや、佐野ゼミのスタイル・シートの「表番号」・「図番号」を利用してWordの連番機能を活用することが絶対に必要です。
- 「1頁の行数」、「1行の文字数」、「フォント」、「見出し設定」などの設定に関しては、下記に挙げたテンプレートファイルの設定にしたがって下さい。
- 表紙は不要です。明治大学経営学部「経営学部論文執筆要項」は論文に関する要項であるため、表紙を付け、そこに「論文タイトル」を記載することとなっていますが、課題レポートでは表紙および論文タイトルは不要です。
- 参考資料の出典表記に際しては、Who, When, What, Whereという4つの情報をその順に記載してください。具体的には、下記の4つの情報を、その順にきちんと記載しておくことが必要不可欠です。
1)「誰が著者なのか?」(個人名、集団名、組織名、企業名といった情報)
2) 「いつ発表(または作成)されたものなのか?」(本や報告書であれば出版年、雑誌記事であれば出版年と巻号、新聞記事・WEBニュース・プレスリリースであれば、発表年月日といった情報)
3) 「タイトルは何か?」(何についてのものなのか?)
4) 「どこで発表されたものなのか?」(本であれば出版社名、報告書であれば発行者名、雑誌であれば雑誌名、WEB資料であればURLといった情報)下記に不適切な表記の例を挙げます。下記事例などを参考に記載をおこなって下さい。
不適切記載例1.平野勇治(2013)「デジタル化は映画の革命?」(2013/1/16)
https://chuplus.jp/blog/article/detail.php?comment_id=746&comment_sub_id=0&category_id=245上記は、掲載日が異なる三つの記事を参照していることがわかるような下記のような表記に訂正することが必要です。
平野勇治(2013)「デジタル化は映画の革命?①」(平野勇治のミニシアターの映写室から)『中日新聞』2013年1月16日
https://plus.chunichi.co.jp/blog/hirano/article/245/746/
平野勇治(2013)「デジタル化は映画の革命?②」(平野勇治のミニシアターの映写室から)『中日新聞』2013年2月8日
https://plus.chunichi.co.jp/blog/hirano/article/245/814/
平野勇治(2013)「デジタル化は映画の革命?③」(平野勇治のミニシアターの映写室から)『中日新聞』2013年3月26日
https://plus.chunichi.co.jp/blog/hirano/article/245/975/不適切記載例2.飯田陽一(2013)「航空機素材・製造技術の革新について」(2013/11)
https://www.cmi.iis.u-tokyo.ac.jp/event/20131112/20131112_03.pdf上記は、東京大学生産技術研究所が2013年年11月12日に開催したシンポジウム「航空機製造技術の飛躍的な発展を目指して」(https://www.cmi.iis.u-tokyo.ac.jp/event/20131112/event20131112.html)で飯田陽一(当時、経済産業省 製造産業局 航空機武器宇宙産業課 課長)氏が14:10-14:30におこなわれた講演の資料です。上記の引用表示では、そうした「出典」に関わる情報の記載がまったく不十分です。こうしたシンポジウムでの講演に関する引用表記に関して決まった書き方はありませんが、例えば下記のように書くのも一つの方法です。飯田陽一(2013)「航空機素材・製造技術の革新について」東京大学生産技術研究所開催シンポジウム「航空機製造技術の飛躍的な発展を目指して」講演資料、2013年年11月12日
https://www.cmi.iis.u-tokyo.ac.jp/event/20131112/event20131112.html
https://www.cmi.iis.u-tokyo.ac.jp/event/20131112/20131112_03.pdfなお上記資料を引用した箇所で、「飯田陽一(当時、経済産業省 製造産業局 航空機武器宇宙産業課 課長)は、飯田陽一(2013)の中で・・・と書いている」といったような形でシンポジウムの報告者の肩書きを記載しておいて下さい。
不適切記載例3.「2019年 日本の広告費」解説―インターネット広告費が6年連続2桁成長、テレビメディアを上回る」ウェブ電通報 (dentsu-ho.com)
https://dentsu-ho.com/articles/7161上記は、WEB記事の執筆者名が明記されていない点で不適切です。また発行主体が不明確な場合には、当該WEBページが掲載されているサイト名(この場合で言えばdentsu-ho.com)を記載するので構わないのですが、上記WEB記事は電通の広報局が発行主体であることが明記されていない点で不充分です。下記のような形で引用表示をするようにして下さい。」
北原利行(2019)「「2019年 日本の広告費」解説―インターネット広告費が6年連続2桁成長、テレビメディアを上回る」ウェブ電通報(電通広報局)、2020/03/11
https://dentsu-ho.com/articles/7161不適切例4.「転換点に来たECプラットフォーマー」in-Pocket、2016年6月9日
https://www.i3design.jp/in-pocket/3013上記も、WEB記事の執筆者名が明記されていない点で不適切です。また発行主体がサイト名にあるi3DESIGN社のサイトであることの記載がない点もあまり適切ではありません。
例えば下記のように記載しておいて下さい。
藤元健太郎(2016)「転換点に来たECプラットフォーマー」in-Pocket (i3DESIGN)
https://www.i3design.jp/in-pocket/3013
なお上記WEB記事は、同記事の中に記載されているように「アマゾンジャパンが物流代行サービスを強化 大型品や危険物、ワイン定温管理なども対応へ」『週刊 通販新聞』2016年6月2日(https://web.archive.org/web/20160605135753/http://www.tsuhanshinbun.com/archive/2016/06/post-2527.html)という業界新聞の記事の意味を解説したものですので、そうしたネタ元の記事も必ず合わせて紹介しておいて下さい。- 佐野ゼミの課題レポートでは、WEBページへのアクセス日の記載は、新聞記事、プレスリリース、論文、報告書など作成日が明記されているものに関しては上記の記載例に示されているように不要です。(明治大学経営学部「経営学部論文執筆要項」はWEBページが作成された年月日が記載されていない場合を基本的に想定したものです。)
5.厳守すべき事項(その3)- イノベーション視点から課題レポートを作成しましょう。- イノベーション(Innovation)とは、「既存のもの、古いもの」を革新(innovate)して、「これまでなかったもの、新しいもの」を創り出すことです。そのため「革新(innovate)する前はどうであったのか?」という「既存のもの、古いもの」(革新の対象)に関する記述とともに、「革新(innovate)した後はどうなったのか?」という「これまでなかったもの、新しいもの」(革新の結果)に関する記述が必要不可欠です。
- 参考資料の出典表記に際しては、Who, When, What, Whereという4つの情報をその順に記載してください。具体的には、下記の4つの情報を、その順にきちんと記載しておくことが必要不可欠です。