家庭用据置型テレビ・ゲーム機の製品イノベーション

家庭用の据置型テレビゲーム専用機(以下、TVゲーム専用機と略記)の製品イノベーションの歴史的展開に関して、ゲーム機のCPU視点[注1]から先発者(pioneer, first mover)と後発者(follower, late comer)を区分すると下記の表1のようになる。
CPUのビット数から見ると、TVゲーム専用機は8ビット機→16ビット機→32ビット機→64ビット機というように、技術進化を遂げてきている。
 
[注1]ここでは、CPUのビット数、すなわち、「CPUが一度に処理できる情報量」に関する性能基準をもとに、ゲーム機の世代区分をおこなっている。
 
表1 家庭用据置型テレビゲーム機のCPU視点から見た製品イノベーションの構造[注2]
 
[注2]GAMECUBEのCPU(Gekko), WiiのCPU(Broadway)はともに、浮動小数点演算処理およびデータバスは64bitであるが整数演算処理およびアドレスバスが32bitであるため、32bitCPUという位置づけとしている。
ただしTVゲーム専用機としての中心的性能としての画像処理に注目すると、整数演算処理よりも浮動小数点演算処理の方がより重要であるため、GAMECUBEとWiiを64ビット機と位置づけるような考え方もあり得る。
 
「CPUが一度に処理できる情報量」視点から見たTVゲーム専用機のイノベーションにおいて、先行者で相対的に大きな成功を収めたのは、8ビットゲーム機世代のファミコンと、32ビットゲーム機世代のプレイステーションの2機種である。16ビットゲーム機世代の先発者であるメガドライブおよび64ビットゲーム機世代の先発者であるN64(正式名称:NINTENDO64)は、一定の成功を収めたとはいえ、「大きな成功」を収めたとは言い難い。
 後発者で相対的に大きな成功を収めたのは、16ビットゲーム機世代のスーパーファミコンと、32ビットゲーム機世代のWii、64ビットゲーム機世代のプレイステーション2の3機種である。SwitchもWiiと同じような大きな成功を収めつつある。
 
表2 任天堂のGAMECUBE以降の家庭用据置型テレビゲーム機の製品本体の世界販売数量の推移
 
表3 任天堂のGAMECUBE以降の家庭用据置型テレビゲーム機用ソフトウェアの製品種類別世界販売数量の推移
 
表4 会社別ゲーム機の国内出荷台数シェア推移1983-2002
 
1997年以前のデータの出典は、柳川範之,桑山上(2000)「家庭用ビデオゲーム産業の経済分析――新しい企業結合の視点」ITME ディスカッションペーパー、No.452,http://www.e.u-tokyo.ac.jp/itme/dp/dp45.pdfである。
また1998年~2002年のデータの出典は、山田英夫(2004)『デファクト・スタンダードの競争戦略』白桃書房,p.164である。
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