マーケティング近視眼問題:Product vs Needs

セオドア・レビット(Theodore Levitt)によれば、企業は、Productよりも、Needsの方をより重要視すべきである。すなわち、企業は、自らが顧客に現に提供している<製品>それ自体よりも、製品が充足している<顧客ニーズ>の方をより重要視すべきである。
 言い換えれば、「顧客に現にどのような製品(あるいはサービス)を提供するのか?」や「将来的にどのような製品(あるいはサービス)を提供するのか?」という企業活動のドメイン(対象領域)設定に際して、<製品>レベルに留まって定義することは適切ではない。製品(あるいはサービス)が充足する<顧客ニーズ>レベルにまで降りてドメインを設定すべきである、とレビットは主張している。

 企業活動のドメイン(対象領域)を 「製品」(あるいはサービス)レベルで定義することは、ドメインの物理的定義と呼ばれている。これに対して、企業活動のドメイン(対象領域)を 「製品」(あるいはサービス)が充足する<顧客ニーズ>レベルで定義することは、ドメインの機能的定義と呼ばれている。
 レビットは、物理的定義のレベルでのみドメイン設定を考えることを、「マーケティング近視眼」(Marketing Myopia)と呼んだ。
 マーケティング近視眼の問題については、1年次学部必修科目「経営学」の教科書『経営学への扉』第5版、白桃書房、pp.54-55で説明されている。そこでは19世紀後半~20世紀前半期のアメリカの鉄道企業は自社の事業ドメインを鉄道事業と捉えるという「マーケティング近視眼」に陥っていたために衰退したという事例を取り上げながら、ドメインに関する物理的定義と機能的定義の問題が論じられている。

 
問1 19世紀後半~20世紀前半期のアメリカの鉄道企業における「マーケティング近視眼」の問題について、『経営学への扉』第5版、白桃書房、pp.54-55および下記引用文を利用しながら、分かりやすく説明しなさい。
 
”railroad executives seen themselves as being in the transportation business rather than the railroad business, they would have continued to grow. ”
“The railroads did not stop growing because the need for passenger and freight transportation declined. That grew. The railroads are in trouble today not because that need was filled by others (cars, trucks, airplanes, and even telephones) but because it was not filled by the railroads themselves. They let others take customers away from them because they assumed themselves to be in the railroad business rather than in the transportation business. The reason they defined their industry incorrectly was that they were railroad oriented instead of transportation oriented; they were product oriented instead of customer oriented.”
[出典]Levitt, T.(1960) “Marketing Myopia,” Harvard Business Review, July-Aug 2004.,p.138
 
問2 レビットは、Levitt, T.(1960) “Marketing Myopia,” Harvard Business Review, July-Aug 2004,pp.138-139において、” Hollywood barely escaped being totally ravished by television. Actually, all the established film companies went through drastic reorganizations. Some simply disappeared. All of them got into trouble not because of TV’s inroads but because of their own myopia. As with the railroads, Hollywood defined its business incorrectly. It thought it was in the movie business when it was actually in the entertainment business.”と述べて、20世紀中頃のアメリカのハリウッドの映画企業も「マーケティング近視眼」に陥っていた、としている。
 これはどういうことなのかを、動画ニーズの充足という視点から分かりやすく説明しなさい。
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