製品セグメント間の協調と競争

ある特定の製品への需要(demand)の変化は、「製品セグメント内部における競争」(同一製品セグメント内における異なる製品同士の間での競争)の問題と、「製品セグメントと他の製品セグメントとの間における競争」(異なる製品セグメント同士の間での競争)の二つの視点で分析する必要がある。

製品は、一般には複数の機能を持ち、複数の必要性(necessity)を充足し、複数の有用性(usefulness)を持っている。そのため異なる製品セグメントに属する製品が、同一の必要性(necessity)を充足し、同一の有用性(usefulness)を持つこともある。そのため製品間競争は、同一の製品セグメントに属する製品の間でおこなわれるとともに、異なる製品セグメントに属する製品の間でもおこなわれることになる。

たとえば、「新生活、テレビ消えた — スマホで代替、若者予算絞る、家電セット「必要なものだけ」」『日本経済新聞』2013年3月20日朝刊によれば、家電量販店が2013年4月から一人暮らしを始める若者向けの家電セット商品からテレビが消えつつある。これは、テレビ受像機だけでなく、パソコンやケータイといった製品セグメントに属する製品も「テレビ放送を視聴する」機能を持っているためである。
 「テレビ放送を視聴する」ことに対する需要(demand)に対応する製品はテレビ受像機だけではない。そのため、テレビ受像機メーカーは、テレビ受像機メーカー同士の間での製品間競争とともに、パソコン・メーカーやケータイ・メーカーといった異なる製品セグメントに属するメーカーとの製品間競争においても、相対的競争優位の確保が必要になる。

[考えてみよう]
課題1.テレビ受像機とパソコン、ケータイといった異なる製品セグメント同士の間での製品間競争に関して、相対的競争優位を具体的に論じ、それぞれの製品セグメント市場の将来的成長性を論じなさい。

課題2.テレビ受像機とパソコン、ケータイといった異なる製品セグメント同士の間での製品間競争と同じような事例を他に探して、課題1と同じように論じなさい。

課題3.テレビメーカーがパソコンメーカーやケータイメーカーでもあった場合には、同一企業で同一需要を食い合うことになる。
そうした現象を何と呼ぶのか?また実際の企業ではそうした事態に対してどのように対応しているのかを調べなさい。

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