携帯音楽プレーヤーの製品イノベーションに関するシーズ的要因とニーズ的要因

製品イノベーションは、シーズ的要因とニーズ的要因の二つの視点から論じることができる。すなわち、携帯音楽プレーヤーに関する下記の製品イノベーションについても、シーズ的要因とニーズ的要因の二つの視点から論じることができる。
 
    radical product innovation 1 携帯型音楽カセットプレーヤーから、携帯型音楽CDプレーヤーへの製品イノベーション
    radical product innovation 2 携帯型音楽CDプレーヤーから、携帯型DAT機器への製品イノベーション
    radical product innovation 3 携帯型DAT機器から、携帯型音楽MDプレーヤーへの製品イノベーション
    radical product innovation 4 携帯型MDプレーヤーから、携帯型メモリタイプ型音楽プレーヤーへの製品イノベーション
    radical product innovation 5 携帯型MDプレーヤーから、携帯HDD型音楽プレーヤーへの製品イノベーション
    radical product innovation 6 携帯型MDプレーヤーから、携帯DVD型音楽プレーヤーへの製品イノベーション

 
上記のようなradical product innovationのシーズ的要因に関しては、「携帯音楽機器の製品イノベーションに関するneedsとseeds-2020ver1」というファイルのように理解することができる。
 
問 「携帯音楽プレーヤーのradical product innovationの1から5までについて、そのニーズ的要因は何か?」ということを下記のような形で考察しなさい。
 
携帯音楽プレーヤーのradical product innovation 6に関わるニーズ的要因
radical product innovation 6に該当する製品は、SONYが2001年に販売開始したDVDウォークマン「D-VM1」である。
同製品は、下記Web1に示唆されているように、「音楽CDを屋外で手軽に聞きたい」「音楽CDを屋外で歩きながら聞きたい」といったそれまでのニーズだけでなく、「音楽ビデオDVDを屋外で手軽に楽しみたい」という新たな潜在的ニーズに応えること、すなわち、市場で広く認識されているわけではないが、「音楽ビデオDVDを屋外で手軽に楽しみたい」という潜在的な必要性(necessity)を充足する一定の有用性(usefulness)を持ったnew productである。
すなわち、同製品は「音楽ビデオを屋外で手軽に楽しむ」ことができるようにすることを目的としたradical product innovationの試みと位置づけることができる。
 しかし下記Web2のグラフに示されているように、「音楽ビデオ」のdemand(需要)は、「音楽CD」のdemand(需要)に比べてかなり限定的なものでしかなかった。
また「音楽CDを屋外で歩きながら聞く」ことは社会的にそれほど不適切な行為ではないが、「音楽ビデオを屋外で歩きながら見る」ことはかなり違和感のある行為であるだけでなく、社会的にかなり不適切な行為である。(そのことは、最近は、「歩きスマホ」禁止が社会的に強く言われていることを考えれば理解できよう。)
 そうした二つの要因により、「DVDウォークマン」に対するdemand(需要)はさほど大きなものとならず、「携帯音楽ビデオプレーヤー市場」あるいは「携帯ビデオプレーヤー市場」の創造に失敗した、と推測される。
 
 
 
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