「技術開発ではなく、需要がイノベーションの起点となっている」という主張は、下記のように現代でもよく見られる。
安藤浩一、宇南山卓、慶田昌之、宮川修子、吉川洋(2010)「プロダクト・イノベーションと経済成長:日本の経験」
RIETI Policy Discussion Paper Series 10-P-018
http://www.rieti.go.jp/jp/publications/rd/064.html
「たとえば薄型テレビのケースでは、消費者が薄型テレビを欲しいということは生産者にも分かっていました。しかし、薄型テレビの誕生には多額のR&D投資による技術革新が必要でした。最終的には薄型テレビの需要が確実にあることが確認されてR&D投資が実行され、生産プロセスが革新されて薄型テレビが生み出されました。このケースでは、生産技術の革新によって成長が達成されたことは間違いありません。しかし、そもそもR&D投資をしたことの動機は、皆が欲しいものを的確に把握できたことに原点があります。その意味では、生産性の上昇ではなく、需要の把握そのものが成長の源泉なのです。」
[考察してみよう]
課題1.上記に挙げた論文では、「最終的には薄型テレビの需要が確実にあることが確認されてR&D投資が実行され」たと記載されているが、この場合のR&D投資とは具体的には何を意味しているのかを説明しなさい。
課題2.薄型テレビを可能にした技術的要因は何か、そうした技術的要因の研究開発はいつ頃からなされたのかを調べなさい。
課題3.上記の課題1と課題2を踏まえて、「上記論文で述べられているR&D投資」と、「薄型テレビを可能にした技術的要因の研究開発投資」に関する区別と連関を説明しなさい。議論の視点としては、Product TechnologyとProduction Technologyの区別と連関という視点から説明しなさい。
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