最近の日本の大学では、社会的ニーズ=社会的要請に対応すべくコピペ問題に対して厳正な処分を下す方向での変革が進んでいる。
こうした動きは、企業におけるコンプライアンス(compliance)重視の流れ、および、日本学術会議の大学教育の分野別質保証委員会などに見られるような大学における教育の質的向上への社会的要請に対応するものであり、広い意味でのneeds-oriented innovationの例ととらえることができる。
早稲田大学におけるコピペ問題は、小保方晴子氏の博士論文での20ページ近くの文章のコピペ発覚を発端とした、早稲田大学理工学研究科の6研究室にわたる23人の博士論文でのコピペ疑惑など大学院レベルにおいてだけでなく、はてな匿名ダイアリー(2014)「早稲田大学理工系におけるコピペ問題」はてな匿名ダイアリーといった指摘など学部レベルでも問題とされている。
最近では、東京大学教養学部後期課程における期末レポート不正問題がテレビや新聞などで取り上げられるなど社会的関心を呼んだ。
こうした問題は、池田信夫(2014)「日本の大学は学位を売る「ディプロマ・ミル」になるのか」2014年07月23日といった議論に見られるように、日本の大学の社会的信用に関わる重大な問題である。
もちろん、日本における各大学は、佐野正博(2015)「大学におけるコピペ、剽窃、引用などの不適切行為への対応」にまとめたように、コピペ問題に対して以前から積極的に取り組んでいる。
しかしこのことは日本のマスコミでもほとんど取り上げられていない。また、日本の大学生における共通認識にもなっていない。残念なことである。
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[参考資料]
[やってみよう]
- 「コピペはなぜ不適切とされるのか?」ということに関して、著作権法などの法的視点、および、社会的モラルといった道徳的視点からどのように論じられているのかを調べてみよう。
- コピペは不適切であると認識していながら、数多くの学生が課題レポートや卒業論文でコピペをしている。そうした行為が少なからず行われる理由をいくつか考えてみよう。なおその際には、学生側の視点からだけでなく、教員側の対応という視点からも考察しよう。
- 大学生のコピペ行為を敢えて擁護あるいは正当化するとすればどのような議論が可能かを考えてみよう。
- 大学生におけるコピペを現在よりも減らす方法をいくつか考えてみよう。またそれらの方法の中で自分が最も有効と思う方法を一つ取り上げ、その方法について有効性・有用性および問題点を考察してみよう。