佐野ゼミ3年次-2014.05.14

前回のゼミ課題の解説で説明したように、学問的考察に際しては、日常的用語としての「ニーズ」という語句ではなく、「necessity/usefulness」(必要性/有用性)、「wants」(欲求)、「demand」(購入)という理論的用語を用いるべきである。こうした区別を踏まえると、「新製品に対するニーズがある」という日常的表現は、下記のような表現の一つまたは複数に置き換える必要がある。

  1. 「新世代製品は顧客が必要としている機能を有している」「新世代製品は顧客の必要に応える機能を有している」
  2. 「新世代製品は顧客が必要としている性能を有している」「新世代製品は顧客の必要に十分に応える性能を有している」
  3. 「新世代製品の新しい機能は対象顧客にとって有用である」「新世代製品の新しい機能は顧客にとって役立つものでる」
  4. 「新世代製品の性能の高さは対象顧客にとって旧世代製品よりも有用である」「新世代製品の性能の高さは顧客にとって旧世代製品よりも役立つものでる」
  5. 「かなりの数の顧客が旧世代製品よりも新世代製品を欲しがっている」「旧世代製品よりも新世代製品を欲しいと思っている顧客がかなりいる」
  6. 「かなりの数の顧客が実際に新世代製品を購入している」「新世代製品は実際にかなり売れている」

そこで5/21のゼミにおいても、「necessity/usefulness」(必要性/有用性)に基づくイノベーション、「wants」(欲求)に基づくイノベーション、「demand」(購入)に基づくイノベーションの相対的区別に関わるレポートの提出をお願いします。

具体的には、お掃除ロボット「ルンバ」などのように、「製品それ自体として比較的大きなusefulness(有用性)を持ち一定の技術的評価を得たことが、製品に対するdemand(需要)を生み出し、一定の市場的成功を収めることができた製品」を探し出しなさい。そして、下記の事項を含むレポートを提出しなさい。

  1. 「関連画像」
  2. 「どのような意味で技術的イノベーションとして評価されているのか?」[新世代製品の性能は旧世代製品に比べてどのように向上したのか?新世代製品は旧世代製品にはないどのような機能を有しているのか?]
  3. 「製品に対するdemand(需要)の大きさはどの程度であるのか?」[製品はどの程度売れたのか?販売された期間は何年から何年までなのか?]
  4. 「旧世代製品の市場規模に対して、新世代製品の市場規模はどの程度なのか?」
  5. 「新世代製品の開発意図はどのようなものであったのか?製品開発時に、どのようなnecessityに応えることを意図してしていたのか?顧客にどのようなusefulnessを提供することを意図していたのか?」
  6. 「新世代製品のusefulnessはどの程度なのか?」
  7. 「新世代製品の基盤となっている技術(基盤技術)は何か?新世代製品が旧世代製品に対して、differentiationを実現できた中核的技術(コア技術)は何か?」

 

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