2014年度3年次ゼミ 2014.04.23

[来週の課題]
先駆者(first-mover)の競争優位の実現を可能にした要因に模倣困難性が高ければ、競争優位が持続する。
言い換えれば、模倣困難性が低ければ、自社の優位性を導いた要因を他社が模倣できるため競争優位は持続しない。模倣困難性が低いイノベーションでは持続的競争優位の確保が困難である。すなわち、他社が容易に模倣可能な単なる「革新」では、先駆者としての競争優位が持続しない。
 例えば、個人投資家を対象とした「証券取引プロセスのネット化」というイノベーションでは、松井証券が先駆者として先行し、2000年段階では「オンライン取引では独り勝ち」と言われていた。しかしながら、松井証券の競争優位性は「口座数」から見る限りにおいて持続していない。下記資料にあるように、松井証券の口座数は、後発社のSBI証券の約1/3、楽天証券の約半分とかなり競争劣位にある。

松井証券-トップの明確な意思で危機を克服-日経ビジネス-2001年03月19日号a
SBI証券-2013年12月末時点資料-6a
[出典]SBI証券(2014)「決算説明資料ー2014年3月期第3四半期」p.6
http://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/home/irpress/kessanshiryou_140205.pdf

 

[課題1]
「口座数」という経営指標では松井証券がかなりの競争劣位にあるけれども、別な経営指標では松井証券はSBI証券とほぼ並び、楽天証券の1.3倍強となっている。また別の指標では、SBI証券の1.6倍、楽天証券の1.4倍である。
それらの指標とは何かを説明するとともに、現在でもなおそれらの指標に関して松井証券が優れている理由を推測しなさい。

[参考資料]
松井証券(2014)『2014年3月期決算説明資料』
http://www.matsui.co.jp/ir/pdf/2014_4_abs.pdf

SBI証券(2014)「決算説明資料ー2014年3月期第3四半期」p.6
http://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/home/irpress/kessanshiryou_140205.pdf
 
「松井証券 トップの明確な意思で危機を克服」『日経ビジネス』2001年03月19日号
「ネット証券に勝負あり 「先行者有利」まざまざ」『日経情報ストラテジー』2001年6月号、pp.160-161
「ネット証券、経営力勝負の時代へ 手数料のメリット消え、新規顧客は頭打ち」『日経ビジネス』2003年6月2日号、pp.95-98

[課題2]
「模倣困難性が低いイノベーションでは持続的競争優位の確保が困難である。すなわち、他社が容易に模倣可能な単なる「革新」では、先駆者としての競争優位が持続しない。」ということに関して、自分で具体的事例を探し出しなさい。そしてそのように先駆者の競争優位性が持続しなかったことに関して、上記に挙げた松井証券のデータのように、具体的データを挙げながら説明しなさい。

[課題3]
先週の課題に関して、上記に挙げた松井証券のデータのように、具体的データを挙げて、持続的競争優位が持続していることの説明をしなさい。

カテゴリー: 2014年度-3年次ゼミ(2013-2015), 佐野ゼミ生用, 未分類 パーマリンク