SONYにおけるテープレコーダー製品セグメントvs プレイヤー製品セグメント

SONYが1979年に発売開始したカセット・ウォークマンTPS-L2は、「録音できない」という意味では先行製品よりも機能的に劣った製品ではあったが、ステレオ再生と小型軽量化を両立させた製品であるという意味において画期的なproduct innovationであった。SONYは同製品によって携帯型音楽プレイヤー製品という新しい製品セグメントを生み出した。
そうしたMarket Creation(市場創造)に成功したSONYは、その後も技術的改良を続け、「カセット・ウォークマン」製品シリーズの累計販売台数で約2億2千万台という輝かしい成功を収めた。
 
[注1]「AC電源ではなく電池駆動である」という点では、カセット・ウォークマンに先行する既存Productとして肩掛け型レコーダー「デンスケ」シリーズの「TC-D5」(1978年5月発売開始)というproductがあった。
 ソニー名誉会長(当時)の井深大氏は、海外出張時に飛行機の中でヘッドホンを使ってステレオ音楽を聴くのを趣味にしていたが、「TC-D5」は先行製品よりは小型化・軽量化されているとはいえ、重量1.7kgもあったため、「やはり重くてかなわないと嘆いていた」と言われている。
[注2]「肩掛け型ではなく、小型軽量の携帯型である」という点では、カセット・ウォークマンに先行する既存Productとしてモノラル・レコーダー「プレスマン」シリーズの「TCM-100」(1978年5月発売開始)というproductがあった。
ウォークマン「TPS-L2」(1979.7)の金型は、プレスマン「TCM-100」(1978.5)の金型を流用したものであったので、両製品の大きさや形状はほぼ同一であった。
 
 
問1 下記の「テープレコーダーからプレーヤーへ」というファイルを参考に、デンスケ「TC-D5」(1978.5)、プレスマン「TCM-100」(1978.5)、ウォークマン「TPS-L2」(1979.7)という3製品の製品コンセプト(対応ニーズ)の文章を完成させなさい。(3点満点)
 
 
なお下記の表で、△△、□□、◇◇にはそれぞれ漢字二文字の単語が入ります。
 
製品名 製品コンセプト(対応ニーズ)
デンスケ「TC-D5」(1978.5) 外で△△、蒸気機関車の音、野鳥の声を本格的に□□する
プレスマン「TCM-100」(1978.5) 外で◇◇を手軽に□□する
ウォークマン「TPS-L2」(1979.7) 外で△△を気軽に聞く
 
「外で△△を気軽に聞く」という製品コンセプト(対応ニーズ)に対して、カセット・ウォークマン「TPS-L2」(1979.7)以前の製品が対応できなかったのは、下記のような理由からである。すなわち、「外で△△を気軽に聞く」という製品コンセプト(対応ニーズ)の視点から考えると、先行製品は下記のような理由でカセット・ウォークマン「TPS-L2」(1979.7)よりも劣った製品であった。
 
1.既存先行製品のプレスマンTCM-100(1978年5月)は、カセット・ウォークマンTPS-L2とほぼ同じ大きさ・重量で小型軽量であったが、ステレオ再生はできなかった。(カセット・ウォークマンTPS-L2の金型は、プレスマンの金型を流用したものであった。)
 
2.既存先行製品のデンスケ「TC-D5」(1978年5月)は、カセット・ウォークマンTPS-L2と同じくステレオ再生はできたが、重量は1.7kgと重かったし、大きさは4.8cm×23.7cm×16.8cmと大きかった。(デンスケの重量はウォークマンの4.5倍、大きさは体積比で6.3倍であった。)
 
問2 前述の「テープレコーダーからプレーヤーへ」というファイルを参考に、デンスケ「TC-D5」(1978.5)、プレスマン「TCM-100」(1978.5)、ウォークマン「TPS-L2」(1979.7)という3製品が「既存製品に対して、どのような意味でproduct innovationであったのか?」「それぞれの製品は、どのような意味で製品コンセプト(対応ニーズ)に適合した製品であったのか?」を説明しなさい。(5点満点)
 
 
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