SONYの音楽再生機器に関する製品イノベーション

問1 初代「カセット・ウォークマン」TPS-L2(1979)と初代「DATウォークマン」TCD-D3 (1990)の機能・性能を比較すると、下記のようになっている。初代DATウォークマンは初代カセット・ウォークマンにない機能を持った製品、カセット・ウォークマンよりも高性能な製品である。
それにも関わらず、DAT型製品は、据置型と携帯型を合わせて累計約30万台にとどまるなど、社会的普及に失敗した。その理由は何かを推測しなさい。
(なおDAT型ウォークマンで最も売れた製品は、で累計出荷台数15万台とされる。) 
 
 
問2 20世紀中は、「CDウォークマン」の累計出荷台数は、「カセット・ウォークマン」の累計出荷台数よりもかなり低い。このようになっている理由に関して、下記の順で考察しなさい。
 
(1) ソニーは、カセット・ウォークマンに関して、初代の「TPS-L2」(1979)に引き続き、「WM-2」(1981)、「WM-20」(1983)、「WM-101」(1985)、「WM-109」(1986)、「WM-501」(1987)、「WM-505」(1988)、「WM-805」(1990)、15周年モデル「WM-EX1」,「WM-EX1HG」(1994)、「WM-EX5」(1996)、「WM-EX9」(1998)というように、絶えざるincremental innovationを執拗に追求した。
こうしたincremental innovationに関して、製品への新機能付加や、製品の高性能化という視点から具体的に説明しなさい。「WM-EX9(1998)では100時間連続再生を可能にした」などというように、できるだけ具体的数値を挙げてincremental innovationのあり方を考察しなさい。
 
(2)  CDウォークマンの累計出荷台数がカセット・ウォークマンの累計出荷台数よりもかなり低い理由に関して、補完財の視点から考察しなさい。
 
 
問3 初代「CDウォークマン」D-50(1984)は、その当時停滞していたCD市場を活性化し、CDの社会的普及を大きく促進したと、言われる
 
(1) なぜ初代「CDウォークマン」D-50(1984)がそのように言われるのかを具体的に考察しなさい。なおその際には、販売開始時の初代CDウォークマン D-50(1984)の原価率の数値を必ず入れなさい。
 
(2)  初代CDウォークマン」D-50(1984)がCD市場を活性化した結果と思われる数値を調べ、グラフ化しなさい。例えば、日本レコード協会の統計情報http://www.riaj.or.jp/f/data/index.htmlなどを基にしてCDに関する数値データの変化をグラフ化しなさい。
 
 
問4 ソニーでウォークマンの開発に携わった古賀宣行が下記雑誌記事の中で述べているように、21世紀になり、携帯音楽機器市場で主役となったのは、Appleである。なぜAppleが携帯音楽機器市場に新規参入して先行最有力企業のソニーを逆転できたのかを、製品のスペックおよび補完財の視点から考察しなさい。
 
西雄大(2013)「エクレア社長 古賀 宣行 ウォークマン開発者の魂」『日経ビジネス』2013年12月09日号、p.114
「古賀が担当する製品はウォークマン、DATウォークマン、ICレコーダーと変わっていったが、世界新記録を塗り替える役割に変わりはなかった。/順風満帆だった古賀の会社人生に変化が起き始めたのは2001年。インターネットから曲をダウンロードできるネットワークウォークマンの開発に携わった頃だ。本体にアルミ製を採用し、古賀は世界で最も格好いい音楽プレーヤーを開発した自負があった。/だが市場を席巻したのはソニーではなく、米アップルのiPodだった。」
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