テレビの製品イノベーションに関して、家電メーカーが既に4Kテレビを商品化している一方で、NHKは8Kテレビ(スーパーハイビジョン,Ultra High Definition Television)の研究開発を2000年から開始し、2005年3月には愛知万博に出展もしている。
[関連参考Web]
sanosemi.info「テレビの製品イノベーションの方向性 — 解像度に関する技術進化」
NHK放送技術研究所「スーパーハイビジョンの概要」
鹿喰善明(2012)「スーパーハイビジョンの研究開発とロンドンオリンピック」『NHK技研 R&D』135
夏野剛「重要なのは実質視聴率、伝送路は多様な方がよい」pp.32 -33
野澤哲生「第2部:4K/8Kへの道-綱渡りの技術開発、映像が伝送路に収まるか」pp.34-39
日経エレクトロニクス編集部「第3部:個人化の進展-放送と通信の壁が消滅へ、実現方式は群雄割拠」p.40
4Kテレビという技術革新はテレビ製品の性能を大きく向上させるものであり、4Kテレビにより「映画館で使われる最新鋭のデジタルプロジェクターと同じ画質の映像を楽し」(『朝日新聞』2012年8月31日朝刊)むことができる。
しかしながらそうした技術的性能の向上(usefullnessの増大)が消費者の欲求(wants)を喚起し、購買行動(demand)につながるかどうかに関して下記のように疑問を呈する人も少なからずいる。
http://kotobank.jp/word/4Kテレビ
「大画面で高画質が売りで、4Kほどの解像度になれば、あたかもそこに実体があるかのようなリアルな映像が楽しめるのだが、はたして、一般家庭の多くがそれほどの画質を望んでいるのかは定かではない。」
その一方で、最近になり4Kテレビがテレビ市場拡大に貢献しているとか、「2013年は4Kテレビ元年」といった下記のような報道もある。
[出典]http://ascii.jp/elem/000/000/838/838712/
「(2013年)9月の薄型テレビ出荷台数は48万7000台と前月比14.2%の増加(JEITA調査)。エコポイントやアナログ停波の特需以降、縮小を続けていたテレビ市場が2年2ヵ月ぶりにプラス成長に転じた。/市場を牽引しているのは50V型以上の大型テレビ。その看板役を担うのが4Kテレビだ。・・・昨年ごろから対応機種が増えはじめ、出荷ベースで5~10%、販売金額ベースではすでに約2割を4Kテレビが占めるという調査もある。/4Kテレビの登場は市場に大きな変化をもたらしている。」
「4Kテレビ、中国けん引、世界市場、2017年に2000万台突破(DATAナビ)」『日経産業新聞』2013年10月23日4面
「2013年は「4K元年」と呼ばれている・・・米調査会社のNPDディスプレイサーチが22日に発表した4Kテレビの出荷台数予測によると、13年の販売台数は127万台で、12年の9600台から急拡大する見込み。14年は563万台に伸び、17年には13年見通しの18倍に相当する2306万台まで拡大する見通しを示した。日本市場をみると、13年は7万5000台で、14年は22万台、17年には10倍の74万台まで伸びる見通し。世界では中間層が増えている中国市場が中心で、13年で97万台となり、世界全体の7割以上を占める見込み。17年には1235万台まで増えるという。」
Chinese TV Set Makers Aggressive With 4K TV Marketing, According to NPD DisplaySearch
http://www.displaysearch.com/cps/rde/xchg/displaysearch/hs.xsl/131021_chinese_tv_set_makers_aggressive_with_4k_tv_marketing.asp
NPDディスプレイサーチによる4Kテレビの出荷台数予測