ユーザー・インターフェースに関する革新

キーボード配列というユーザー・インターフェースに関するドミナント・デザインであるQWERTY配列に対して、DVORAK配列など様々な新デザインがチャレンジしたが、日本語ワープロ専用機や現代のスマホなどにおける成功例のように限定的成功はあっても、まだQWERTY配列の相対的優位は続いている。
 こうしたQWERTY配列という事例が象徴的に示しているように、社会的に広く受け入れられているユーザー・インターフェースを変更することは様々な理由から困難である。

[考えてみよう]

     ユーザー・インターフェースは、人間と機械をつなぐインターフェース、すなわち、マン・マシン・インターフェース(man machine interface)の一種として位置づけることができる。
     すなわち、ユーザー・インターフェースは、機械に関する人間の「知識」(明示的知識)・「熟練」(暗黙知、肉体に固定化=体化された反応系)・「反応期待」(「ビデオ再生において■ボタンを押すと、ビデオ再生が停止する」ことが予期できるなどといったように、ある操作に対して機械がどのように反応するかという期待)と、「機械」といった諸要素によって構成されている製品システムにおけるインターフェースである。
     製品システムに関するイノベーションは、そのシステムを構成する諸要素の外的インターフェースが変化しない場合には、諸要素それ単体での革新によるイノベーションも可能であるが、ユーザー・インターフェースのような複数の要素に関わる製品構成要素の場合には単体での革新は実行困難である。
     ユーザー・インターフェースの革新には、それに関わる諸要素、すなわち、人間と機械の両方の革新を必要とすることが多いからである。

    ユーザー・インターフェースに関するデザインに対する革新における困難に関して、いくつかの事例を挙げて説明してみよう。

    ex.1 iOS7におけるユーザー・インターフェースの革新

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